岐阜市立女子短大
京都産業大学

このふたつの大学名を見てピンときたかたは、
時事問題に詳しい方か、イタリア好き、大学関係者のいずれかと思います…

大学でイタリア語を専攻していたmeteora、
語学留学していたフィレンツェを第2の故郷くらいに愛しているのですが、
そのフィレンツェの象徴であり中心である大聖堂（ドゥオモ）に、
日本人学生が落書きしたっていうんだから、かなり心が傷つきました。

ドゥオモは、何百年も前に大理石を使って作られた教会です。
今みたいに重機がない時代に、人間の手でものすごく大きな石を掘り出して、
えんやこら運んできて、それを職人がひとつひとつ彫刻して、みんなで一生懸命作って、
大事に大事に受け継いできた建物です。
その大理石に、油性マジックで落書きするなんて…
しかも自分たちの名前にハートとか、「観光記念」とか書くなよ…
なんて安っぽいことしてくれたんだっっ

特に京都産業大学は、わたしが受験していた当時、
全国で唯一イタリア語を専攻として学べた私立大学です。
その大学の学生がフィレンツェの顔に落書きするなんて、本当に信じられません。

モラルの問題とか、監督の問題とか、それ以前に、
本人たちの想像力と感受性の欠如があるだと思います。
自分がいるその場所が、どんな歴史で作られたのか、
人々がどんな思いでその場所を愛しているか。
歴史を勉強していなくても、ドゥオモの大きさと古めかしさと、
そして今でもきれいに磨かれている大理石の柱をみたら、
圧倒的な存在感を感じたら、ささやき声さえひびいてしまう空間の荘厳さに気づいたら、
たとえ「落書き禁止」の看板が読めなくても、他に落書きがあったとしても、
絶対にそんなことはできないはず。

彼らには、「日本人の恥」という声が浴びせられることでしょう。
逆に、「大理石を削り取ろうとした外国人もいるなかで、
すぐに消せるマジックの落書きなんてかわいいもんだ」という人もいるかもしれません。
でも、「日本人として」とか「世界遺産に」とかいうレベルを超えて、
彼らには、ドゥオモをつくり愛してきた人々の気持ちを踏みにじったのだということ、
そしてそこに思いがいたらなかった自分の「鈍感さ」を反省してほしいと思います。